3 月の採用広報解禁以降、多くの学生が週に 3〜5 社の説明会に参加します。しかし「説明会に参加した」と「説明会から何かを得た」は、全く別のことです。
インターンEXPO 編集部が参加学生にヒアリングした結果、「説明会が選考に役立った」と感じる学生の多くは、説明会前に 「自分が今回確認したい仮説」を 3 つ持って臨んでいました。 仮説なしで参加すると「なんとなく良さそう」という感想で終わり、志望動機の材料にならない情報だけが残ります。
説明会に参加する学生の多くは「受け身」の姿勢です。説明を聞いて、メモをとって、帰る。しかし本当に価値ある情報は、Q&A セッションでの逆質問や、説明会後のアクションによって初めて得られます。
会社説明会の 3 つの機能#
説明会には「受け取れる情報の種類」が 3 つあります。
機能 1. 公式情報の整理#
会社の事業内容・職種・選考フロー・待遇など、採用サイトに書いてある情報の補完。これは「最低限の情報収集」であって、この目的だけで参加すると得るものが薄くなります。ただし「音として聞く」ことで記憶への定着が変わり、「採用ページで読んだだけでは分からなかった」語り口やニュアンスが分かることはあります。
機能 2. 社員観察による一次情報#
説明会には、人事担当や若手社員が登壇することがほとんどです。彼らの「話し方」「言葉の選び方」「質問への反応」が、その会社のカルチャーを示す一次情報です。
- 会社の課題について質問された時、正直に答えるか / 逃げるか
- 若手社員が「会社が好き」から話しているか、「説明のために来た」雰囲気か
- 複数の登壇者の話に一貫性があるか
- 質問に対して「分かりません」と言えるか
これらは採用ページには絶対に書かれていない情報です。登壇社員の「人」を観察することで、その会社の文化が見えてきます。
機能 3. 仮説検証と逆質問#
事前に持った仮説を「Q&A セッション」でぶつけます。これが説明会の最も有効な使い方です。
説明会前の準備 — 15 分でできること#
やること 1. 採用サイト・HP を 5 分読む#
最低限の情報 (事業概要・募集職種・会社の規模) を把握します。「御社は何をしている会社ですか?」という質問は絶対に避けなければなりません。採用サイトに書いてあることを確認もせずに参加するのは、相手の時間を尊重していないサインです。
やること 2. 仮説を 3 つ書き出す#
説明会に行く前に「この会社について、自分はこう思っているが実際はどうか」という仮説を 3 つ書きます。
例:
- 仮説 1: 社内公募制度があると聞いたが、若手のうちから使えるのか?
- 仮説 2: 海外事業を伸ばしていると IR にあったが、現場の若手がどのくらい関与できるか?
- 仮説 3: 職種別採用と書いてあるが、実際の配属はどの程度希望通りになるのか?
やること 3. 逆質問を 3 問用意する#
Q&A の時間に向けて、事前に 3 問を準備します。「調べれば分かる質問」は使わない。「その場にいる社員しか答えられない質問」に絞ります。
説明会中のメモの取り方#
「全部メモしようとする」学生は情報を整理できません。ノートがメモで埋まっても、後で読み返した時に「何が重要か」が分からなくなります。
メモすべき 3 つの情報#
① 採用ページに書いていなかった情報
説明会では「実態」が語られることがあります。「配属は全員本社スタートですが、2 年目以降は希望を出せます」「残業は多い時期で月 40 時間程度です」など、サイトに載っていない情報は必ずメモします。
② 登壇者が強調した言葉・価値観
登壇社員が「うちの会社で大事にしていること」として語った言葉を書き留めます。これは志望動機に組み込める素材です。「御社の説明会で◯◯という言葉が印象に残りました」という使い方が、面接での具体性に繋がります。
③ 「引っかかった」ポイント
「これ本当?」「なぜ?」と思った瞬間をメモします。後の OB/OG 訪問やインターンで確認できる「疑問リスト」になります。疑問を持てることは、業界・企業研究が深まっているサインです。
逆質問の作り方と選び方#
Q&A の逆質問は、内容次第で「この学生は調べているな」という印象を作れます。
良い逆質問の共通点#
1. 調べた上での質問
「採用サイトを拝見して◯◯という記載があったのですが、現場の実態はどうでしょうか?」という形は、事前準備を示しながら一次情報を引き出せます。
2. 登壇者の個人体験を引き出す質問
「◯◯さんが担当された案件の中で、特に印象に残っているものを教えてください」という個人体験への質問は、「会社として公式に語る内容」ではなく「その人のリアルな経験」が出てきます。
3. 仮説の検証
「御社は◯◯に力を入れていると認識していますが、若手のうちからその領域に関われる機会はありますか?」という仮説を検証する質問は、業界・企業研究の深さを示します。
具体的な逆質問の例#
仕事のリアルを聞く:
- 「入社後の最初の 1 年間で、『これが一番大変だった』と思ったことは何ですか?」
- 「◯◯職種の方は、1 週間のうちどの業務に最も時間を使っていますか?」
カルチャーを聞く:
- 「社内で評価される人に共通することは何だと感じますか?」
- 「入社前と入社後で、一番認識が変わったことは何でしょうか?」
業界・会社の変化を聞く:
- 「ここ 2〜3 年で業務の内容が変わってきていることはありますか?」
- 「御社が今一番注力している取り組みを、現場目線で教えてください」
避けるべき逆質問#
- 「御社の強みは何ですか?」(調べれば分かる)
- 「どんな人が向いていますか?」(採用サイトに書いてある)
- 「残業はどのくらいですか?」(最初の質問としては印象が悪い)
- 「内定者にはどんな学生が多いですか?」(「採用基準を教えてください」と同義で聞きづらい)
説明会後のアクション — 30 分でやること#
① 当日中にメモを整理する
説明会で取ったメモを「なるほどと思った点」「驚いた点」「確認したい点」の 3 つに仕分けします。翌日には細部を忘れます。整理したメモは、次の OB/OG 訪問や面接の質問リストに転用できます。
② 志望動機のドラフトを更新する
説明会で聞いた一次情報を、志望動機の「なぜこの会社か」の部分に反映させます。
「説明会で◯◯さんから聞いた『入社 2 年目から海外プロジェクトにアサインされた』という話が、特に印象に残りました。この話が、私が重視している『早い段階でのグローバル経験』と一致しています」
③ 気になった登壇者に連絡を試みる
説明会の後に「今日の話、特に◯◯の部分が印象に残りました。もし可能であれば 30 分ほどお時間をいただいてもよいですか?」と連絡することで OB/OG 訪問に発展することがあります。連絡手段は、名刺をいただいていればメールで。名刺がない場合は採用担当経由で紹介を依頼します。
説明会を「行って終わり」にしないために#
説明会は、仮説を持って入り、逆質問で検証し、説明会後に言語化して活かすという一連のサイクルで初めて「企業研究の一次情報」になります。
「何社行ったか」ではなく「1 社から何を得たか」が、企業研究の質を決めます。
説明会を就活の通過儀礼として消化するのをやめると、同じ時間で 3 倍の情報を得られます。その差が、面接での「この学生は本当にウチを調べてきている」という印象を作ります。
オンライン説明会と対面説明会の使い分け#
就活イベントの多くがオンラインと対面の両方を用意しています。それぞれの特性を把握して使い分けることが大切です。
オンライン説明会のメリットと活用法#
メリット:
- 全国どこからでも参加できる
- 移動時間がかからないため、1 日に複数社参加できる
- 録画・見返しができる場合がある
活用のコツ: カメラをオンにして参加することで「熱心な学生」として印象に残りやすくなります。Q&A でチャット入力する場合、「◯◯大学 氏名: 〜という質問です」と名前を入れると、面接官の記憶に残ることがあります。
対面説明会のメリットと活用法#
メリット:
- 会場の雰囲気・社員の表情をリアルに観察できる
- 説明会終了後に社員に直接声をかけやすい
- 名刺交換のチャンスがある
活用のコツ: 説明会終了後に「少し質問させてください」と声をかけることで、個別に話せる機会が生まれます。「名刺をいただけますか?」と聞くことも、後の OB/OG 訪問依頼に繋がります。
合同説明会と個別説明会の違い#
就活の説明会には「合同説明会」と「個別説明会」の 2 種類があります。
合同説明会#
複数の企業が一堂に会するイベント。1 日で多くの企業の概要を把握できます。
使い方: 「知らなかった企業を発見する」「業界の幅を広げる」目的に適しています。志望度が高い企業の深掘りには向きません。1 社あたりの時間が短いため、「この会社をもっと知りたい」と思ったら、後日の個別説明会に申し込みます。
個別説明会#
1 社が単独で行うイベント。その企業の深い情報が得られます。
使い方: 志望度が高い企業に対して参加します。Q&A の時間が長いことが多く、逆質問の準備をしっかりすることが重要です。複数回開催されている場合は、最初の回に参加して「まず全体を把握する」のが効率的です。
説明会で「記憶に残る学生」になるために#
採用担当者に「記憶に残る学生」として名前を覚えてもらうことは、一概に有利とは言えませんが、後の OB/OG 訪問や面接でのアドバンテージになることがあります。
記憶に残るための行動:
- Q&A で手を挙げる — 挙手して質問する学生は少ない。名前を言ってから質問すると、より印象に残る
- 質問の質を上げる — 「御社の強みは?」ではなく「御社の中計で◯◯を掲げていますが、現場での進捗はどうですか?」という調べた上での質問をする
- 説明会後に声をかける — 対面の場合、終了後に「今日の話の中で◯◯の部分が特に印象に残りました」と一言添えるだけで違います
これらは「目立とうとする行動」ではなく「真剣に向き合っている姿勢」の表れです。採用担当者は毎年何十回も説明会を開いています。「準備して来た学生」はすぐに分かります。
説明会に参加すると選考で有利になりますか?
「参加した / しなかった」で明確に有利不利が変わることは少ないですが、参加によって得た情報が志望動機の質を上げる効果はあります。また一部の企業では「説明会参加が選考の必須条件」になっていることがあるため、募集要項で確認してください。「参加しただけ」ではなく「参加して何を得たか」が選考に影響します。
説明会に参加したが全然内容が分からなかった。どうすればいい?
「分からなかった部分のリスト」を作ることが次のステップです。「◯◯という用語の意味が分からなかった」「◯◯という業務がイメージできなかった」という疑問が、OB/OG 訪問での質問リストになります。分からなかったことが多いほど、OB/OG 訪問の価値が上がります。