OB/OG 訪問は、就活の中で最も「差がつく」活動の一つです。
行かない学生はいません。しかし「行って良かった」と感じる学生と「あまり収穫がなかった」と感じる学生に分かれます。この差は、準備の質と質問の設計で生まれています。
インターンEXPO 編集部が出展企業の若手社員・OB・OG に「学生のどんな姿勢が印象に残るか」を聞いたところ、共通して返ってくるのは 「自分なりの仮説を持ってきた学生」 という言葉でした。
「御社はどんな仕事をしていますか?」という質問をする学生と、「御社の中計では◯◯を重点施策に挙げていますが、実際に現場でどのくらい変化を感じますか?」と仮説をぶつける学生では、訪問後に持ち帰れる情報量が全く違います。
OB/OG 訪問の目的を定義する#
まず、なぜ OB/OG 訪問をするのかを整理します。目的は大きく 3 つです。
1. 仮説の検証 — HP・IR・説明会で作った「この会社はこういう会社では?」という仮説を、一次情報でぶつけて精度を上げる
2. 入社後の解像度を上げる — 実際の仕事内容・キャリアの分岐点・カルチャーを、リアルな言葉で知る
3. 志望動機の強化 — 聞いた話を志望理由に組み込むことで、「調べた知識」ではなく「聞いた一次情報」として差別化する
この 3 つのうち、3 番目だけを目的にしているとインターンの質が落ちます。1・2 が充実した結果として 3 がついてくる、という順番が正しいです。
また、OB/OG 訪問には「関係構築」という目的もあります。訪問した社員が後に面接官になることがあります。訪問後に誠実なお礼メールを送り、選考中も連絡を取り合う関係を作れた学生は、選考でも好意的に見られることがあります。
アポイントの取り方#
経路 1. 大学のキャリアセンター#
最も確実で、相手も「就活の学生に協力する」という前提でいるので断られにくいです。ただし OB/OG のリストが古いことがあるため、現職かどうかを念のず確認します。リスト経由で連絡する際は「キャリアセンターの◯◯のリストからご連絡しています」と明記すると、相手も安心します。
経路 2. LinkedIn / Wantedly#
相手にメッセージを送る形です。接点がないため、丁寧な自己紹介と訪問の目的を簡潔に書く必要があります。「30 分だけ時間をいただけますか」 と具体的に時間を示すと承諾率が上がります。「ご都合の良い日時をご指定ください」より「平日 18 時以降か休日の午前中が都合が良いですが、ご都合に合わせます」と書く方が、相手が返信しやすくなります。
経路 3. 友人・ゼミの先輩経由#
最も話しやすい経路です。紹介してもらった先輩の顔を潰さないためにも、準備の質を最も高くします。訪問後のお礼を紹介者にも伝えることを忘れずに。
アポ取りメールのテンプレ#
件名は「OB/OG 訪問のお願い / ◯◯大学 氏名」とシンプルに。本文は 4 段落で:
(1) 自己紹介と接触経路 (2) 訪問の目的 (3) 希望日時の候補を 3 つ (4) 所要時間の明示 (30〜45 分程度)
メールの長さは 200 字以内が目安です。 長すぎるアポメールは、相手の時間を読んでいないサインとして受け取られます。
訪問前の準備 — 仮説を作る#
仮説を 3 つ書き出す#
訪問前に「この会社についての自分なりの仮説」を 3 つ紙に書き出します。
例:
- 仮説 1: 営業主体の職種が多く、配属先によって業務内容が大きく変わるのでは?
- 仮説 2: 社内でのキャリアアップは入社後 3 年の成果で決まるのでは?
- 仮説 3: 外資との競合が激しく、提案スピードが他社差別化の鍵になっているのでは?
この仮説を OB/OG に「こんな風に考えているのですが、実際はどうですか?」とぶつけることで、会話の密度が上がります。仮説が間違っていても全く問題ありません。「違います。実際は〜」という答えの方が、ありきたりな質問への回答より価値ある情報です。
会社の基本情報を確認する#
採用ページ・IR・中期経営計画の要点を 15 分読んでおきます。「御社はどんな事業をされていますか?」という質問は、訪問の機会を無駄にする最大の原因です。基本情報を把握した上で「調べて分からなかったこと」を聞く姿勢が重要です。
質問を 10 個準備し、優先順位をつける#
時間は 30〜45 分です。全部は聞けません。「絶対に聞く 3 問」「時間があれば聞く 5 問」「余裕があれば聞く 2 問」に分けておきます。
訪問中に必ず聞く 10 の質問#
仕事の実態を聞く質問#
Q1. 入社してから一番驚いたギャップは何でしたか? 採用ページには書いていないリアルが出てきます。「思っていたより〜」という答えの裏に、会社のカルチャーが見えます。
Q2. 1 週間のスケジュールを教えてもらえますか? 仕事のリズムが分かります。「自席での作業と外出・会議の割合はどのくらいですか?」と続けると、仕事の実態がより具体的になります。
Q3. 今の仕事で最も難しいと感じていることは? 「やりがいは?」より本音が出ます。「難しい」の内容が、その仕事の本質を示しています。
Q4. 社内で評価される人は、どんな共通点がありますか? カルチャーの核心が見えます。「昇進が早い人」ではなく「評価される人」と聞くことで、実力主義かどうかも分かります。
キャリアについての質問#
Q5. 入社後 3 年間で一番成長を感じた瞬間はいつですか? どのタイミングで、何をきっかけに成長するかが分かります。
Q6. もし今の会社に入り直すとしたら、就活期間に何を違う視点でやり直しますか? 本音のキャリアアドバイスをもらえます。「自分に似た学生へのアドバイス」として聞くと、より具体的な答えが返ってきます。
Q7. 部署異動・キャリアチェンジはどのくらいの頻度で起きますか? 自分で選べますか? キャリアの自律性が分かります。「希望を出せる制度はありますか?」と続けると、制度と実態の差が見えます。
会社・職場環境についての質問#
Q8. 上司との関係性はどんな感じですか? 1on1 はどのくらいの頻度で行われますか? マネジメントスタイルと組織文化が見えます。
Q9. 社員同士の横のつながり (部署を超えた交流) はありますか? 縦割り文化かどうかを確認できます。「新入社員が他部署の人と関わる機会はありますか?」と続けると、孤立しやすい環境かどうかも分かります。
Q10. 率直に、この会社のいいところと直したいところを教えてください この質問を聞けると、訪問の質が一段上がります。「良いところだけ聞く学生」は多いので、ここで差がつきます。直したいところを正直に答えてくれる OB/OG は、信頼できる情報源です。
訪問中のマナー#
- 時間厳守: 15 分前には現地到着。カフェの場合、注文前に到着して待つのがベスト
- メモを取る: 「メモしてもいいですか」と確認し、書き留める姿勢を見せる
- リアクション: 相手の話に反応する。「それは面白いですね」「意外でした」など、聞いていることを態度で示す
- 時間管理: 約束した時間の 5 分前に「そろそろお時間が迫ってきたのですが」と声をかける
- スマホ禁止: メモは手書きか、事前に許可を取った上で PC。訪問中のスマホ操作は論外
お礼メールの書き方#
訪問当日の夜中、遅くとも翌朝 9 時までに送ります。
お礼メールに含めるべき 3 要素:
- お礼の言葉
- 訪問で特に印象に残った話を 1 つ具体的に引用する
- 自分の志望がどう変わったか / 深まったか
例: 「◯◯さんが話してくださった『入社 3 年目で初めて一人で提案書を作った』というお話が、特に印象に残っています。独力で顧客に向き合える環境があることを知り、御社への志望がより具体的になりました。いただいたお話を今後の選考に活かしてまいります」
「ありがとうございました、勉強になりました」だけのお礼メールは、相手の記憶に残りません。 具体的な引用を入れることで「ちゃんと聞いていた」が伝わります。返信が来た場合は、必ず再返信をします。
OB/OG 訪問を志望動機に活かす方法#
OB/OG から聞いた一次情報は、そのまま志望動機の強化に使えます。
「OB/OG 訪問で◯◯さんから話を聞いた際、◯◯という話が、私が重視している◯◯と一致していました」
この構造を使うと、「自分で調べた情報」ではなく「現場の人から聞いた一次情報」として差別化できます。面接で「誰から聞きましたか?」と聞かれたときにも、すぐに答えられます。
また、複数の OB/OG から同じことを聞いた場合は「複数の方から同様の話を聞き、その点が御社の特徴だと確信しました」と言えます。これは特に説得力のある志望動機の根拠になります。
OB/OG 訪問は、行くだけでは意味がありません。仮説を持って行き、一次情報として使い切ることで、初めて選考に効きます。