インターンEXPO 編集部のインタビューシリーズ第 4 弾は、金融業界を志望していた 27 卒の D さん (私立大学経済学部) の話です。
「地元のメガバンクに就職する」ことを目標にしていた D さんが、インターンEXPO への参加をきっかけに金融業界の全体像を把握し、視野を広げた結果、複数社の内定を得て比較検討できる状態になるまでの軌跡を聞きました。
「銀行しか知らなかっただけで、金融にはこんなに選択肢があるとは思っていませんでした」
参加前 — 「金融 = 銀行」という思い込み#
── 就活を始めた頃の状況を教えてください。
D さん: 経済学部なので「金融系に行きたい」という気持ちはあって。でもその「金融」が「銀行」しかイメージになかったんです。証券も保険もリースも資産運用会社も、名前は知っているけど「仕事内容が違う」という認識がありませんでした。
「銀行に行けばいい」と思っていたので、業界研究も「メガバンクのどれにするか」という比較しかしていませんでした。就活を始めた頃の自分は、金融業界の地図を持っていなかった、というのが正確な表現だと思います。
── インターンEXPO に参加したきっかけは?
D さん: 就活情報サイトを見ていたら告知が出てきて、「金融業界の企業も来る」という情報で気になって参加しました。正直、「また会社説明会か」という感覚もあったんですが、企業と個別に話せる形式と聞いて面白そうだと。
── 参加前はどんな期待をしていましたか?
D さん: 「メガバンクの採用担当者に顔を覚えてもらえれば」くらいの軽い気持ちでした。まさか自分の就活の軸が変わるとは思っていませんでした。
参加当日 — 「金融の業態が複数ある」という当たり前の気づき#
── イベントで印象に残った出来事は?
D さん: 座談会で証券会社の担当者と同じテーブルになった時に、「銀行と証券で何が違うか、ざっくり説明しますね」と言われて、お金の「流れ方」の違いを教えてもらったんです。
「銀行は預金を預かって融資する (間接金融)、証券は投資家と企業を直接つなぐ (直接金融)。この違いが、仕事の内容を根本から変える」という説明で、「あ、同じ金融でも全然違う仕事をしているんだ」 と初めてちゃんと理解できました。
── その前に証券会社を調べたことはありましたか?
D さん: 名前は知っていましたが、仕事内容は全然分かっていませんでした。「株を売買する会社」という程度の理解で。でも実際の証券会社の業務は「企業の資金調達を支援する」「M&A のアドバイザリーをする」など、銀行とは全く違う役割があると教えてもらいました。
── 他に印象に残った業態は?
D さん: 立食交流会でリース会社の担当者に話しかけた時です。「リースって何をする会社か知ってますか?」と聞かれて、正直よく分からなかった。「企業に設備・機械・航空機などを貸し出して、その賃料を収益にする金融ビジネスです」という説明を聞いて、「こういう金融の形もあるのか」と。
あと信託銀行も知らなかった業態の一つで、「普通の銀行業務 + 資産管理・不動産管理・遺言信託などの信託業務を合わせ持つ」という説明で、スペシャリティの高さに惹かれました。「専門性が高い分、顧客との深い関係が作れる」と担当者が話していて、それが自分の志向に合っていると感じました。
「金融業界の中でも業態ごとに仕事が全然違う。知っているか知らないかで志望先の選択肢が変わる。」
Source: InternEXPO 参加者 voice
参加後 — 金融業態を横断した業界研究と選考準備#
── イベント後、どう動きましたか?
D さん: インターンEXPO で話を聞いた業態ごとに、ビジネスモデルの違いをまとめるノートを作りました。銀行・証券・信託・保険・リース・カード・資産運用の 7 業態について「収益の源泉」「主な顧客」「若手の仕事内容」を比較表にして。
この作業が、その後の OB/OG 訪問の質を上げました。「銀行と証券の違いを整理したのですが、この認識は合っていますか?」という仮説を持って行けたので、訪問の会話が深かったです。
── 志望軸は変わりましたか?
D さん: 最初は「銀行一本」だったのが「銀行 + 信託銀行 + 証券」の 3 業態に広がりました。それぞれの特徴を理解した上で「自分はどれに向いているか」を考えられるようになったので、志望動機の質が上がったと思います。
「なぜ信託銀行か」という問いに対して、「信託業務という専門性の高い領域で、長期的な資産設計を顧客と一緒に考えることができる点が、私の『顧客と深い関係を作りたい』という価値観に合っている」と答えられるようになりました。
── 選考での変化は?
D さん: 面接で「なぜ銀行ではなく信託銀行を選んだのか」という質問が来た時に、業態の違いを踏まえた答えができました。業態の違いを説明できる学生が少ないと面接官に言われて、ここで差がついたと感じました。
また「金融業界全体の中でなぜこの業態か」という視点で話せるようになったことで、「業界を俯瞰できる学生」という評価をもらえたケースもありました。
── OB/OG 訪問はどのくらいしましたか?
D さん: 最終的に 12 社くらい行きました。同じ金融業界の中でも「業態が違うとこんなに違うのか」という発見が毎回あって、それが選考準備の直接の材料になりました。
── 最終的な内定の状況は?
D さん: メガバンク 1 社・信託銀行 1 社・証券会社 1 社の 3 社から内定をいただきました。最終的に信託銀行を選んだのですが、3 社を比較した上で選べたことが、決断の納得感に繋がりました。
「なんとなく一番有名な会社に行く」のではなく「自分の価値観と仕事の内容を照らし合わせて選ぶ」という意思決定ができたのは、業界の横断的な理解があったからだと思います。
内定承諾の判断プロセス#
── 3 社から内定をもらって、信託銀行を選んだ理由を詳しく教えてください。
D さん: 一番の理由は「仕事の専門性の深さ」です。メガバンクも証券も魅力的でしたが、信託銀行には「信託業務」という独自の領域があって、そこを専門としたキャリアが積めることが決め手でした。
OB/OG 訪問で信託銀行の方に「10 年後のキャリアをどうイメージしていますか?」と聞いたら、「信託の専門家として特定の顧客と長期的な関係を築いていたい」という答えが返ってきました。それが自分の「顧客と深い関係を作りたい」という価値観と一致した。
── メガバンクや証券会社に行かない理由も話せますか?
D さん: メガバンクは「規模の大きさと安定感」が魅力でした。でも OB/OG 訪問で「若手のうちは 1 人の顧客を深く担当するより、幅広く薄い担当範囲が続く」という話を聞いて、自分の志向と合わないと判断しました。証券は「仕事のスピードとインセンティブ」に魅力を感じましたが、「顧客との長期的な関係より成果の積み上げ」が中心という文化が、自分にはフィットしないと感じました。
── 内定承諾の期限ギリギリまで迷いましたか?
D さん: 少し迷いました。でも「3 社を比較する明確な軸があった」ので、最後の判断は比較的スムーズでした。各業態の「自分の価値観との一致度」と「3 年後のイメージ」を表にしてみたら、信託銀行が最も自分に合っていると視覚的に分かりました。
就活を終えて振り返る#
── 就活全体を振り返って、「これをやって良かった」と思うことは?
D さん: 3 つあります。
1 つ目は インターンEXPO で金融業界の全体像を掴んだこと。 これがなければ「銀行一本」で選考に臨んでいたと思います。業態の違いを理解しないまま進んでいたら、「なぜ銀行か」という質問に深い答えが出せなかった。
2 つ目は OB/OG 訪問を 12 社行ったこと。 数字だけ見ると多すぎると思われるかもしれませんが、金融業界の「業態の数」だけ訪問したイメージです。同じ金融でも銀行・証券・信託・保険・リースで担当者に会うことで、業界の立体的な理解ができました。
3 つ目は「業態の違い」を言語化する作業をしたこと。 ノートに比較表を作ることで、自分の理解が整理されました。整理されていると、面接で聞かれた時にすらすら出てきます。
── 就活を通じて、自分自身に変化はありましたか?
D さん: 「知らないことを知る」という行動への抵抗感がなくなりました。就活前は「知らないことが恥ずかしい」という気持ちがあって、知識がないまま質問することを避けていた。でも就活を通じて、知らないことを「知りたい」という言葉で正直に伝えることで、むしろ相手が丁寧に教えてくれることを学びました。
── 後輩へのメッセージをお願いします。
D さん: 「金融 = 銀行」で止めないでほしいです。業態ごとにやることも雰囲気も全然違うので、まず業態の違いを理解してから志望を絞ることをすすめます。
インターンEXPO みたいな場所で複数の業態の企業と話すと、比較しながら理解できるので効率がいいです。1 日で金融業界の横断的な理解が進んだのは、イベント参加の一番の収穫でした。複数社と同時に話せる機会は他にはあまりないので、ぜひ活用してほしいです。